ひとりごと

◆WBA、王座濫造再開か。

なんだか、WBAが、王座濫造を始めそうな雰囲気になっていますね。

ベルトの価値を下げないためには、王座をいたずらに増やすべきではないことは間違いないのですが、近年は、なかなか試合をせず試合間隔が長い王者も多く、また、ビッグネームとの対戦を目指し団体の指名試合を行わないことも珍しくないですし、統一戦志向の王者が増えてきていることも、各団体のランカーが長い間挑戦できない状況を加速させており、各団体もなかなか辛いところで、暫定王座や休養王座を設置するのもやむを得ないような気がします。

王座の管理や指名試合の運用が厳格なIBFは暫定王座などは無しですが、WBOやWBCには、このような事情による暫定王者や休養王者が少なからずいます。

ただ、やはりWBAは問題ありです。
何故設置するのか意味が全く分からず大顰蹙を買った暫定王座を再び作り始めてしまいました。
また、ランキングの中に入れていたゴールド王者をまた独立させ始めています。
完全に悪乗りして、再び濫造に動き出したような気がします。

- ◇ ー ◇ ー ◇ ー ◇ ー ◇ -

WBAは、2021年7月のランキングでは、ほとんどの階級にスーパー王者、レギュラー王者、暫定王者がいたとんでもない状態で、17階級で、スーパー王者16人、レギュラー王者16人、暫定王者10人、ゴールド王者12人、休養王者2人、全部で56人の「王者」がいました。

この状況に業を煮やした米国ボクシング・コミッション協会が、WBAに対し、複数の王座があることに強く抗議し、米国内でのWBAタイトルマッチを積極的には承認しない方針を打ち出したことを受けて削減に動き、現在は、スーパー王者5人、レギュラー王者15人(空位のライトフライ級も1人とカウント)、暫定王者3人、休養王者が1人、ゴールド王者が3人、全部で27人と、かなり減っています。

複数の王者がいる階級は、
ヘビー級(スーパー王者:ウシク《3団体統一王者》、レギュラー王者:マフムード・チャー)
ライト・ヘビー級(スーパー王者:ベテルビエフ《4団体統一王者》、レギュラー王者:デイビッド・モレルJr.)
スーパーミドル級(スーパー王者:サウル・アルバレス《3団体統一王者》、暫定王者:ケイレブ・プラント)
スーパーウェルター級(王者:テレンス・クロフォード、休養王者:ジャーメル・チャーロ)
スーパーフェザー級(王者:レイモント・ローチJr.、暫定王者:アルベルト・バティルガジエフ)
スーパーフライ級(王者:フェルナンド・マルティネス《2団体統一王者》、暫定王者:デイビッド・ヒメネス)
の6階級。

4つは複数団体統一王者のいる階級で、暫定王座設置はやむを得ないような気がしますし、チャーロは、アルバレスに挑戦したりしてスーパーウェルター級の防衛戦をおこなっていないので、休養王者にするのは理解ができます。
また、スーパーフェザー級は、王者のローチがライト級王者ジャーボンテイ・デイビスに挑戦する予定なので、これもやむを得ないような気がします。

他団体に比べ特に問題だと感じるのは、堤聖也が王者となったバンタム級で、暫定王座は全く必要ない状況と思われますが暫定王座決定戦が行われることです。

また、井上尚弥を煽り続けているムロジョン・アフマダリエフのしつこさに根負けしたのか、スーパーバンタム級でも暫定王座決定戦が行われる予定です。

せっかく削減したににもかかわらず、意味のわからない王座を再び作り始めたWBAは、また米国ボクシング・コミッション協会に怒られるでしょうね。

◆井上尚弥の周囲が、なんだか騒がしい。(2)

井上が派手なKO勝利を重ねていく中で、世界中の欲しがりなマスコミが、試合があるたびに対戦相手についてなんだかんだ物申すようになりましたが、ボクサーからの声は多くはありませんでした。

スーパーフライ級では、対戦相手を見つけるのにかなり苦労していたようですし、このころは、私の記憶では、『対戦したい』というボクサーもいなかったような気がします。

バンタム級時代も、カシメロはかなり挑発していましたが、井上と対戦したいと言っていたのは、当時IBFとWBOで5位前後にいたニコライ・ポタポフ(ロシア)ぐらいだったのではないでしょうか。

しかし、最近、周囲のボクサー達がずいぶんと騒ぎ出しています。

元WBAスーパー王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)は、井上の次戦が、IBF1位、WBO1位のサム・グッドマン(オーストラリア)になりそうな状況を見て、「自分と何故戦わないのか」みたいにブーブー言い続けていました。
まぁ、「タパレスに負けたのに、偉そうにごちゃごちゃ言ってんじゃねーよ。」とか返したくなりますよね。

フェザー級のブルース・キャリントン(米国)も、結構煽ってますね。
キャリントンは13戦全勝〔8KO〕で、世界ランキングは、WBA、WBC、WBOで2位、IBFで6位。
昨年のThe RINGのProspect of the yearを獲得し、伸び盛りの新鋭ではありますが、世界ランカーと戦ったのが、先日9/27のWBC3位のスライマン・セガワ(米国)戦が初めてで、まだまだ実績は物足りません。
井上を煽り始めたのが、まだ世界ランカーと戦ってもいないときだったので、『君、まだまだ早いよ。』と思いましたね。

他のフェザー級のボクサーも、『早く階級を上げてこい。戦ってやる。』みたいな感じで煽っています。
井上は流石に辟易したのか、「そういうのなら、お前らが下げてこい。」と反論。
確かに、その通りですね。

10/5に王座防衛に成功したWBA世界フェザー級王者のニック・ボール(英国)も、「井上が上がってきたら戦う。」と言っているようです。

戦う意思を示しているボクサーがこれだけ多く出てきていますから、今後、井上が試合枯れすることはなさそうで、口先だけは威勢の良い相手を井上がバッタバッタと倒していくのをたくさん見れそうなので、ファンとしてはうれしいですね。

このように井上に関する話題が増えている背景として、世界トップレベルのボクサー達が『井上と戦いたいか?』と聴かれることが増えているのだと思います。

ボクシングの人気が徐々に下がるのを、そして、国内ジム所属選手の世界挑戦21連続失敗も見てきた(自分も含め)古くからのボクシングファンは、これだけ世界的に注目の的となるボクサーが、まさか自分と同じ時代に出現するとは思いもしなかったでしょう。

この「日本ボクシング史上最高傑作」を、デビューからおそらくは引退までリアルタイムで見ることができるのは、一人のボクシングファンとしてとても幸せなことだと思いますね。

そして、井上に続く中谷潤人や他の選手も頑張っています。
これからも、日本のボクサー達が大活躍し、再びボクシング人気が高まることをおおいに期待したいところです。

まあ、それにしても、アフマダリエフとカシメロはやかましいですね。
どうせなら、この二人で戦って、うるさいのを一人にしてくれないですかね…。

とかなんとか言っているうちに、アフマダリエフが12/14に13位のリカルド・エスピノサ・フランコ(メキシコ)と暫定王座決定戦を行う模様。

フランコは30勝〔25KO〕4敗。
2019年4月に、WBO世界バンタム級暫定王座決定戦でカシメロに敗れたものの12Rまで粘っており、近年の敗戦は、このカシメロ戦と、元WBA(super)・IBF世界スーパーバンタム級王者のダニエル・ローマン(米国)戦のみ。

ランキングは下位とはいえ、簡単な相手ではなさそうです。
どうせなら、ここでフランコに勝ってもらって、アフマダリエフを黙らせてほしいと思います。

◆井上尚弥の周囲が、なんだか騒がしい。(1)

日本ボクシング界最高傑作、“モンスター”井上尚弥。

アマで8冠を獲得、2012年に鳴り物入りでプロデビューし、周囲の予想をはるかに上回る大活躍を見せ続ける井上は、以前から、日本人のボクシングファンなら知らぬ人はいないスーパースターでしたが、世界的に評価が高まったのは、あくまでも私の感覚ですが、比較的最近の数年前ごろのような気がします。

世界王座を通算27度防衛していたWBO世界スーパーフライ級王者オマール・ナルバエス(アルゼンチン)に衝撃的な2RKOで勝利し王座を獲得しても、その実力に比べ世界的な知名度は低く、挑戦するには「勝ち目がなく、うま味のない王者」だったため、対戦相手探しにはかなり苦労していた状況でした。

バンタム級に転じ、ジェイミー・マクドネル(英国)に1RTKOで勝利し3階級制覇を達成しても、『マクドネルが減量失敗して本来の実力を出せなかった』と言われ、WBSSでWBAスーパー王者ノニト・ドネア(フィリピン)を破って優勝したときも、『すでにピークを過ぎたドネアに勝っても…』と言われ、その圧倒的な実力が正しく評価されていなかったような気がします。

世界王者レベルの相手を次々と倒してきた井上に対し、次の防衛戦の相手がジェイソン・マロニー(オーストラリア)だったときに、『井上の相手としては物足りない』との声がかなり出ました。

マロニーは世界4団体で上位にランクインしており、ランカーの中では最も世界王者に近いと思われたボクサーの一人でしたが、そのマロニー戦に対し批判的な声が多く出てきたことには、少し驚きました。

当時、井上はWBAスーパー王座、IBF王座を保持しており、WBC王者はノルディーヌ・ウバーリ(フランス)、WBO王者はジョン・リエル・カシメロ(フィリピン)。

カシメロと3団体統一戦を行う予定でしたが、新型コロナウィルスの世界的な感染拡大の影響で中止となり、マロニー戦は、試合をすることすら難しい状況のなかで何とか実現にこぎつけ無観客で行われたものですが、そんな事情はお構いなく、もっと強い相手を戦うことを世界じゅうが期待し始めた、すなわち、井上の実力がかなり高く評価され始めたと感じました。

ただ、すでに、このとき井上はThe RINGのPound for Poundランキングで2位となっており、世界的知名度は赤丸上昇中(もう死語?)だったわけですが…。

その後、WBO王者カシメロとの統一戦は実現せず、マイケル・ダスマリナス(フィリピン)、アラン・ディパエン(タイ)に当然のようにKO勝利。

この2試合は、『完全にミスマッチ』『Pound For Poundにランクインしているボクサーが戦う相手ではない」とまで言われてしまいましたが、ダスマリナスはIBFの指名挑戦者で何の問題もないマッチメイクでしたし、ディパエン戦は、世界上位ランカーのルーシー・ウォーレン(米国)やゲイリー・アントニオ・ラッセル(米国)に対戦を避けられた結果のマッチメイクだったのですが、周囲はけっこう好き勝手言ってましたね。

それだけ、井上と強豪との緊張感のある対戦を期待する声が世界中から大きくなっていました。

井上は、その声に応えるかのように、WBC王者となっていたドネアとの再戦に2RTKO勝利で3団体統一、WBO王者ポール・バトラー(英国)に勝利し4団体統一を達成。

バンタム級4団体を統一後は、スーパーバンタム級に転じ、スティーブン・フルトン(米国)とマーロン・タパレス(フィリピン)を破ってあっという間に4団体を統一し、テレンス・クロフォード(米国)に続く2階級4団体制覇を達成、世界的にも、ボクシングファンなら知らぬ者はいないスーパースターとなりました。 

(2)へ続く。

◆那須川天心圧勝で、やはりこういう反応が…。

那須川天心が、WBA4位のジョナサン・ロドリゲスに4RTKO勝利し、世界ランキング上位に入ってくるのが確実な状況となっています。

Xなどでは、「井上尚弥と今戦っても勝てる」という熱狂的な那須川ファンが、「那須川天心に限らず井上尚弥を超えることのできるボクサーはいない」等の意見とぶつかり、なかなか盛り上がっています。

那須川の熱狂的なファンがそう言いたくなるような素晴らしい内容の勝利だったとは思いますが、個人的には、4戦目でようやくボクシングに馴染んできた那須川と井上を比較すること自体ナンセンスだと思います。

また、現時点では、実際に戦う可能性はゼロに近いわけですから、そんな意見にむきになって「勝てるわけがない。井上尚弥を舐めるな。」と返す必要もないような気がします。

みなさん、ボクシングファンであれば、井上が更に伝説を作り続けることを、中谷潤人が井上に続く素晴らしい王者になっていくことを、そして、那須川天心をはじめ、これからの世代がどんどん活躍することを楽しみに見ていればいいと思うんですけどね。

喧嘩せずに、仲良くボクシングを見ることはできないのでしょうか…。

◆WBA、再び王座濫造??

WBAは、以前、スーパー王座とかGold王座とか必要のない暫定王座とか、王座をやたらと作りまくっていました。
これに対し、米国のボクシング・コミッション協会が、複数の王座があることに強く抗議し、米国内でのWBAタイトルマッチを積極的には承認しない方針を打ち出したことを受けて、2021年7月に、暫定王座を廃止、Gold王座はランキングの中に入れ、スーパー王座と正規王座を徐々に統一していく方向に進んでいました。

 

が、最近、ちょいちょい、何故設定するのか意味のわからない暫定王座とか作り始めているような気がしていましたし、さらに、いくつかの階級でGold王座をランキングから独立させています。
また、懲りずに王座増やしていくつもりなのでしょうか。

WBAが王座削減を打ち出した2021年7月では、王座は56(スーパー16、レギュラー16、暫定10、ゴールド12名、休養2)でしたが、2024年6月のランキングでは、 新設のブリッジャー級を加えても26(スーパー6、レギュラー15、暫定2、ゴールド2、休養1) 、また、スーパー王者とレギュラー王座の両方いるのが3階級だけで、かなりスッキリしています。

せっかくここまで来ていながら、再び悪しき方向に行ってしまうのでしょうか…。
まあ、米国のボクシング・コミッションに、タイトルマッチ認めないぞと、また叱られるような気がしますけどね…。

管理人:ボクヲタおやじ
輪島功一、大場政夫、具志堅用高…。少年時代に往年の名ボクサーをテレビで見て、胸が熱くなりました。以来50年以上ボクシングヲタクです。
過去の名勝負なども取り上げていこうと思います。
おことわり
※ 選手名等は敬称略とさせていただいております。
あしからずご了承ください。

※ 記載内容に誤りなどありましたら、遠慮なくご指摘ください。
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