boxing 名勝負・迷勝負

【名勝負№40-2】田口良一 vs 井上尚弥 ~日本ライトフライ級タイトルマッチ 2013.08.25

2階級にわたり3団体統一を果たし、向かうところ敵なしの井上尚弥。

これまでの戦績は、世界戦22戦全勝〔20KO〕を含む27戦全勝〔24KO〕。

KOを逃した3試合は、2013年8月の日本ライトフライ級タイトルマッチ、田口良一戦、2016年5月のWBOスーパーフライ級王座2度目の防衛戦、ダビド・カルモナ(メキシコ)戦、そして、2019年11月のWBA(super)・IBF世界バンタム級タイトルマッチ・WBSSシーズン2バンタム級決勝、ノニト・ドネア(フィリピン)戦。

この3人のうち、ダウンしなかったのは田口だけで、これまで圧倒的な強さで勝ち続けてきた井上に、最も善戦したと言えるでしょう。

井上が、デビュー4戦目で日本ライトフライ級王者の田口良一に挑戦した、何度見ても胸が熱くなる一戦は、現在FODで無料放送中です。(23日 02時45分まで)



結果は、井上が3-0(98-92,98-93,97-94)で勝利し、辰吉丈一郎以来23年ぶりに当時国内最短タイ記録となる4戦目で日本王座を獲得しました。

敗れたとはいえ、田口は、井上と戦いを糧に、その後の試合を「相手は井上君より強いはずはないから大丈夫」と自信を持って戦い、のちにWBA・IBF2団体統一王者に成長していくことになります。

◆【名勝負№107】長谷川穂積 vs. ウィラポン・ナコンルアンプロモーションⅡ ~ WBC世界バンタム級タイトルマッチ 2006.03.25

2006.03.25
WBC世界バンタム級タイトルマッチ

王者 長谷川 穂積
vs.
挑戦者 ウィラポン・ナコンルアンプロモーション


長谷川 穂積(25)
これまでの戦績:19勝〈6KO〉2敗

2002.05.18:OPBFバンタム級王座獲得。その後3度防衛。

2004.10.30:WBC世界バンタム級王座挑戦者決定戦で、鳥海純に3-0(98-93、97-95、96-95)で勝利。

2005.04.16:WBC世界バンタム級王者ウィラポン・ナコンルアンプロモーション《14度防衛中》(タイ)に挑戦、3-0(115-113、115-113、116-112)で勝利、王座獲得。

2005.09.25:ヘラルド・マルティネス(メキシコ)に7RTKO勝利、初防衛に成功。

ウィラポン・ナコンルアンプロモーション(37:タイ)
これまでの戦績:51勝〈36KO〉2敗2引分

ムエタイで活躍し、26歳で国際式に転向。

1995.09.17:WBA世界バンタム級王者《2度防衛中》のダオルン・MPペトロリアム(タイ)に挑戦、2-1(118-113,117-114,114-115)で勝利、王座獲得。4戦目で世界王者となった。

1996.01.28:ナナ・コナドゥ《元WBC世界スーパーフライ級王者》(ガーナ)に2RTKOで敗れ王座陥落。その後16連勝。

1998.12.29:WBC世界バンタム級王者辰吉丈一郎に挑戦。6RKOで勝利、王座獲得。

1999.08.29:辰吉丈一郎と再戦。7RTKOで勝利、2度目の防衛に成功。

2000.06.25:西岡利晃に3-0(116-112,116-112,115-113)で勝利、4度目の防衛に成功。

2001.09.01:7度目の防衛戦で、西岡と再戦。1-1(116-113,113-115,114-114)の引き分けで防衛成功。

2003.10.04:西岡の3度目の挑戦を受け、1-1(116-112,113-114,115-115)の引き分けで11度目の防衛成功。

2004.03.06:西岡の4度目の挑戦を受け、3-0(118-109,117-109,116-110)で勝利、12度目の防衛成功。その後も2度防衛、防衛回数を14回に伸ばす。

2005.04.16:長谷川穂積に0-3(113-115,113-115,112-116)で敗れ、王座陥落。


ウィラポンは、1998年12月に辰吉に勝利しWBC世界バンタム級王座を獲得して以来、辰吉と再戦、西岡利晃と4度対戦、計6度日本のリングにあがり、日本のボクシングファンの間でもすっかり有名になっていました。

どっしり構えて、じわじわと相手にプレッシャーをかけながら重たいパンチを的確に打ち込む、隙が少なく安定感抜群のボクシングスタイル。

長谷川の挑戦を受けたときは、14度防衛し5年半にわたり王座を守っていた超安定王者でした。

一方の長谷川は、2003年に獲得したOPBFバンタム級王座を3度防衛し、2004年10月に挑戦者決定戦に勝利し、このタイトルマッチを迎えましたが、世界的には無名で、ウィラポンが圧倒的に有利と思われました。

しかし、長谷川は、スピードでウィラポンを攪乱し、僅差の判定勝利で王座を奪取。

初防衛戦をKO勝利で飾り、2度目の防衛戦はウィラポンとの再戦。



王者となり自信をつけた長谷川は、その持ち前のスピードに磨きがかかり、開始から右ジャブや左右のアッパーで優勢に試合を進める。

ウィラポンも、被弾しながらも接近し、ボディを打ち込む。

6Rには、長谷川の連打でウィラポンがふらつく場面もあったものの、7Rと8Rに、ウィラポンはぐいぐい前進して反撃。

そして迎えた9R開始早々に、長谷川の右ロングフック一閃、ウィラポンがダウンし、レフェリーストップ。

見事なワンパンチKOでした。

8Rまでの採点は、三者とも77-75で長谷川。

私の採点 (→採点方法はこちら)は、
無題1





長谷川が勝ったことは非常にうれしかったのですが、ウィラポンがKOで敗れたことの方が印象に残った試合でした。

◆【名勝負№106】カルメロ・ボッシ vs. 輪島功一 ~ WBA・WBC世界スーパーウェルター級タイトルマッチ 1971.10.31

1971.10.31
WBA・WBC世界スーパーウェルター級タイトルマッチ

王 者 カルメロ・ボッシ
 vs. 
挑戦者 輪島 功一



カルメロ・ボッシ(32:イタリア)
40勝〈10KO〉7敗3分 

1959年度世界選手権準優勝。
1960年ローマ五輪では銀メダル。

1967.10.07:世界ウェルター級王者ウィリー・ルディック(南アフリカ)に挑戦、判定で敗れる。

1967.11.25:ウィリー・ルディックに再挑戦、判定で敗れる。

1970.07.09:WBA・WBC世界スーパーウェルター級王者フレディ・リトル(米国)に挑戦し判定勝利、王座獲得。その後1度防衛中。

輪島 功一(28)
これまでの戦績:22勝〈20KO〉2敗

当時としては、非常に遅い25歳でデビュー。

1969.09.04:12連勝で、日本スーパーウェルター級王座獲得。その後1度防衛。

1969.10.30:WBC世界スーパーライト級王者ペドロ・アディグJr.とのノンタイトル戦で、1RKO負け。

1970.02.05:ジョージ・カーターに0-3(46-48、46-48、47-49)で敗れ、日本王座から陥落。

1970.04.09:ジョージ・カーターとリマッチ。2-1(49-48、48-47、48-49)で勝利、王座奪還。その後、すべてKOで5度防衛。



1R~7R
輪島が、トリッキーな動きと「かえる跳び」「あっち向いてホイ」などの奇策でボッシを幻惑し主導権を握る。
輪島の、常に頭の位置を動かし相手に的を絞らせず、ボッシの左ジャブをしっかりブロックするディフェンステクニックが光る。

8R~11R
輪島の動きに慣れてきたボッシが最小限の動きで輪島のパンチをかわし、左ジャブと強烈な右アッパーで優勢に。

12R~15R
輪島は、11R以降の経験がなくスタミナが心配されたが、動きが落ちない。
逆に、疲れからかボッシのスピードが落ち、クリンチに逃れる場面が増える。


お互いに明確な有効打が少なく、微妙なラウンドが多い試合。

採点は、2-1(68-67、70-73、72-70)で輪島。

この当時のジャッジ(レフェリーを含む)は、中立国から1名、お互いの出身国から1名づつの構成が主流でしたから、接戦だと中立国のジャッジの採点で決まることが多かったのですが、 中立国の米国のレフェリー、ハロルド・ベイランが68-67で輪島でした。

私の採点 (→採点方法はこちら)は、
無題
2




これまでの日本人世界王者は、スーパーフェザー級が最も重たい階級で、それよりも4階級上のスーパーウェルター級で世界王座を獲得したことは快挙でした。

◆【名勝負№105】ホセ・ルイス・ブエノ vs. 川島郭志 ~ WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ1994.05.04

1994.05.04
WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ

王 者 ホセ・ルイス・ブエノ
(24:メキシコ)
24勝〈17KO〉3敗1引分
vs.
挑戦者 川島 郭志
(24)
13勝〈12KO〉2敗1引分


川島は、プロデビュー当時、ピューマ渡久地《のちに日本フライ級王座を2度獲得、通算5度防衛》や鬼塚勝也《のちに世界スーパーフライ級王座を獲得、5度防衛》と、「平成の三羽烏」と呼ばれ期待の大きいボクサーでした。

高校時代、この2人に勝ってインターハイに優勝していた川島は特に注目されましたが、渡久地や鬼塚が順調に勝利を積み重ねていったのとは対照的に、2度のKO負けと2度の左拳の骨折によるブランクという挫折を味わいました。

その後、川島は打たれ脆さを克服するためにディフェンスを磨き、切れ味の良いパンチを活かした攻撃に「アンタッチャブル」と称されたディフェンスを兼ね備えたスタイルに進化、1992.07.13に日本スーパーフライ級王者の小池英樹を破り王座獲得、その後、すべてKOで3度防衛しています。



ブエノは、1993.11.13にWBC世界スーパーフライ級王者ムン・ソンギル(韓国)に挑戦。

ムンは、1988年8月にWBA世界バンタム級王者カオコー・ギャラクシー(タイ)を破り王座獲得、 この王座は2度防衛後のギャラクシーとの再戦で敗れ陥落しますが、1990年1月にWBC世界バンタム級王者ナナ・コナドゥ(ガーナ)に勝利し王座を獲得、その後ヒルベルト・ローマン《WBC世界スーパーフライ級王座を2度獲得、通算11度防衛》(メキシコ)、グレグ・リチャードソン《元WBC世界バンタム級王者》(米国)、イラリオ・サパタ《元2階級制覇王者(ライトフライ級・フライ級で通算13度防衛)》(パナマ)といった強豪を破り9度防衛、4年近く王座を守り続ける安定王者。

結果は、ブエノが2-1(117-112,118-110,114-115)で勝利し王座獲得。



国内では圧倒的な強さで日本王座を防衛していたものの世界トップレベルでの試合経験がない川島は、安定王者ムンを破った実力者ブエノに通用しないと言われました。



開始から、川島が積極的な攻撃でペースを握りますが、ブエノも川島の打ち終わりを狙ってカウンターで応戦。
中盤以降は、川島のディフェンスにブエノのパンチは空転が目立ち、11Rに川島がダウンを奪い、川島優勢のまま試合終了となりました。

結果は、3-0(114-113,117-110,114-112)で川島が勝利、王座獲得。
私の採点 (→採点方法はこちら)は、
1
2




大差で川島勝利と思っただけに、2人のジャッジが僅差だったのは意外でした。

◆【名勝負№104】薬師寺保栄vs. ピョン・ジョンイル Ⅱ ~ WBC世界バンタム級タイトルマッチ 1994.07.31

1994.07.31
WBC世界バンタム級タイトルマッチ

王 者 薬師寺 保栄
vs.
挑戦者 ピョン・ジョンイル


薬師寺 保栄(26)
これまでの戦績:21勝〈15KO〉2敗1引分

1991.06.30:日本バンタム級王者の尾崎恵一に挑戦、9RTKO勝利で王座獲得。1度防衛後に返上。

1993.12.23:WBC世界バンタム級王者《1度防衛中》のピョン・ジョンイル(韓国)に挑戦。
ピョンが初防衛戦で左手を骨折したため暫定王座が設置され、7/22に暫定王者決定戦でビクトル・ラバナレス(メキシコ)に勝利していた辰吉丈一郎と団体内統一戦を行う予定だったが、辰吉に網膜剥離が判明したため、薬師寺が代役で挑戦。
3-0(117-112,115-113,117-111)で勝利、王座獲得。
その後、1度防衛。

ピョン・ジョンイル
(25:韓国)
これまでの戦績:10勝〈4KO〉1敗

1993.03.28:WBC世界バンタム級王者《4度防衛中》のビクトル・ラバナレス(メキシコ)に挑戦、3-0(117-112,115-113,117-111)で勝利、王座獲得。

1993.05.28:ホセフィノ・スアレス(メキシコ)に3-0(120-106,120-104,119-109)で勝利、初防衛に成功。
※ この試合でピョンが左手を骨折したため、予定されていた元王者の辰吉丈一郎との防衛戦は中止。
暫定王座が設置され、辰吉とラバナレスが対戦し、辰吉が勝利し暫定王者に。

1993.12.23:薬師寺保栄に1-2(115-113、115-116、113-115)で敗れ、王座陥落。
※ 暫定王者の辰吉と団体内統一戦を行う予定だったが、辰吉に網膜剥離が判明し中止となり、辰吉の代役で薬師寺保栄の挑戦となった。



初戦は非常に微妙な判定で物議を醸したため再戦となりました。



薬師寺が1R、3Rにダウンを奪い優勢に試合を進める。
4R以降はピョンが細かいパンチで反撃、ピョンのペースに。
10R、劣勢になっていた薬師寺が逆襲、3度目のダウンを奪う。
11R、薬師寺が2度ダウンを奪ったところで、ピョンのセコンドがギブアップ。
薬師寺が11RTKO勝利、2度目の防衛に成功。

序盤に2度ダウンを奪われたピョンが中盤からポイントを挽回、9Rまでの採点は薬師寺3-0(85-84,85-84,87-82)。
そのままピョンのペースで試合が終われば、また微妙な判定になるところでしたが、薬師寺がはっきりと決着をつけました。

私の採点 (→採点方法はこちら)は、
無題

1



この後、薬師寺は、日本中が注目した辰吉丈一郎との世紀の一戦に向かって行きます。
管理人:ボクヲタおやじ
輪島功一、大場政夫、具志堅用高…。少年時代に往年の名ボクサーをテレビで見て、胸が熱くなりました。以来50年以上ボクシングヲタクです。
過去の名勝負なども取り上げていこうと思います。
おことわり
※ 選手名等は敬称略とさせていただいております。
あしからずご了承ください。

※ 記載内容に誤りなどありましたら、遠慮なくご指摘ください。
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