ひとりごと

◆井上尚弥 vs. マーロン・タパレス ~ 激闘を終えて③

2023.12.26
WBA(super)・WBC・IBF・WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ


WBO・WBC王者 井上 尚弥(30)
25戦全勝〔22KO〕
vs.
WBA(super)・IBF王者 マーロン・タパレス
(フィリピン:31)
37勝〔19KO〕3敗

井上が10RKOで勝利、テレンス・クロフォード(米国)に続き史上2人目の2階級4団体制覇に成功。



井上の勝利の余韻に浸りながら、試合後の記者会見も観ました。

タパレスに対し、最初は、井上の印象等についての当たり前のやり取りがありましたが、後の質問が酷かったですね…。

『ネリーやアフマダリエフは、井上とどんな戦いになると思うか』という、タパレスにそれ聞いてどうすんのみたいな質問。
当然、興味なさそうに「試合を見てみないとわからん」とあっさり返される始末。

さらに、『今後井上と戦う選手にアドバイスを』という超愚問。
井上にKOで敗れたタパレスに聞くにはあまりに失礼極まりなく、侮辱した質問のような気がしました。
タパレスは、苦笑いしながら一言「Good Luck」。
エールではなく、「まあ、せいぜい頑張ればいいんじゃない」みたいなニュアンスだったと思います。
これも、「今、俺にそれを聞くの?はっきり言ってどうでもいいんだけど」みたいな感じだったのではないかと思います。

もっとタパレスの側に立って、僅差ながらも勝利したアフマダリエフとKOで敗れた井上では何が違っていたのかとか、今後もスーパーバンタム級で再起し王座を目指すのかとかを聞いてほしかったところです。

また、井上に対しても、『引退は35ではなく37という話ですが…』とか、今それ?みたいな質問がありました。
井上は苦笑いして、途中で「この話はもうやめましょう」と打ち切ったぐらいですから、いかにくだらなくあの場で聞くべきことではない質問だったかがわかります。



試合後、疲れた体で開いてくれている記者会見で時間が限られているわけですから、お互いの戦い方や印象、試合前に考えていた作戦等の、試合に関することをしっかり聴くべきで、今後の相手とか、井上の引退年齢とか、この試合に関係ないことを聴く時間がもったいないです。

これまで、記者会見は、くだらん質問が多いなと思いつつも一応観てきましたが、流石に呆れました。
スポーツ関連の記者をやっているのなら、対戦した両者を尊重し、失礼のない、皆が聴きたい質問をしてほしいと思いますね。
大偉業を見届け大喜びした直後に、なんだかモヤモヤした気持ちになってしまいました。
もう、記者会見を観るのをやめようと強く思いました。

◆井上尚弥 vs. マーロン・タパレス ~ 激闘を終えて②

2023.12.26
WBA(super)・WBC・IBF・WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ


WBO・WBC王者 井上 尚弥(30)
25戦全勝〔22KO〕
vs.
WBA(super)・IBF王者 マーロン・タパレス
(フィリピン:31)
37勝〔19KO〕3敗

井上が10RKOで勝利、テレンス・クロフォード(米国)に続き史上2人目の2階級4団体制覇に成功。



井上は、今後しばらくはスーパーバンタムに留まる意向で、WBC王座挑戦権を持つルイス・ネリー(29:メキシコ)や、先日WBA王座挑戦者決定戦に勝利した前WBA(super)・IBF王者のムロジョン・アフマダリエフ(29:ウズベキスタン)、IBF王座挑戦権を持つサム・グッドマン(25:オーストラリア)との対戦が予想されます。

ネリーは、これまでの戦績は35勝〔27KO〕1敗。
後ろ体重で構え、踏み込んで強打を打ち込んでくるサウスポーで、タパレスに近いスタイル。
強打とパンチの回転力の速さは要警戒ですが、ディフェンス面ではおそらくタパレスの方が柔らかく、ネリーはタパレスよりはパンチを当てやすく戦いやすいのではないかと思います。
山中慎介との2試合でドーピング違反疑惑と体重超過をやらかしたネリーは、その後もエマヌエル・ロドリゲス戦で体重超過し、金を積んでみたもののロドリゲス陣営に拒否され試合がキャンセルになったことがありました。
スーパーバンタム級では今のところ体重超過はないですが、何をしてくるか分からない相手ですから、もし戦うなら、契約の段階で体重やドーピングに関しては厳密にしておくべきでしょうね。
個人的には、ネリーはリングに上がる資格などないと思っているので、井上には関わってほしくないのですが、もし戦わなければならないのであれば完膚なきまでやっつけてほしいと思います。

アフマダリエフは、これまでの戦績は12勝〔9KO〕1敗。
2015年の世界選手権で銀メダル、2016年リオデジャネイロ五輪で銅メダルと、アマチュアでの実績があり、そのテクニックとがっしりした体から繰り出す強打で勝利を重ね、WBA(super)・IBF世界王座を獲得し、その後3度防衛しました。
タパレスに僅差で敗れて陥落しましたが、12/16に行われたWBA王座挑戦者決定戦でケビン・ゴンサレス(メキシコ)に勝利し、すぐにトップ戦線に戻ってきました。
アフマダリエフは、フィジカルのパワーを活かした攻撃が要警戒ですが、タパレスにパンチをかなり当てられていて、ディフェンス面にはやや不安がありそうです。
となると、抜群の当て勘を持つ井上のパンチは当たると思いますし、ごりごり押してこられても、井上最大の武器である高速バックステップでかわせると思うので、それほど問題はないのではないかと思います。

グッドマンは、これまでの戦績は17戦全勝〔7KO〕。
今年6月にライーズ・アリーム(米国)に勝利し、IBF王座挑戦権を獲得。
下馬評ではライームの評価が高かったのですが、グッドマンが快勝しトップ戦線に入ってきました。
グッドマンは、攻防のバランスの良いボクサーファイターで、ジェイソン・マロニーのようなスタイル。
隙の少ない総合力の高いボクサーですが、意外性には欠け、井上にとっては3人のうちでは最も戦いやすいのではないかと思います。



これら3人は強豪ではありますが、スティーブン・フルトン(米国)とタパレスを破った井上にとって、大きな脅威になるとは考えにくく、井上がなぎ倒して、フェザー級に転級することが濃厚のような気がします。
井上は、来年は3試合やりたいと言っており、この3人との指名戦を順々にこなしていくものと思われます。
来年も、井上から目が離せませんね。

◆井上尚弥 vs. マーロン・タパレス ~ 激闘を終えて①

2023.12.26
WBA(super)・WBC・IBF・WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ


WBO・WBC王者 井上 尚弥(30)
25戦全勝〔22KO〕
vs.
WBA(super)・IBF王者 マーロン・タパレス
(フィリピン:31)
37勝〔19KO〕3敗

井上が、10RKOで勝利、史上2人目の2階級4団体制覇に成功。



試合前は、楽勝ムードが漂っていましたが、井上陣営が警戒していたとおり、タパレスは簡単な相手ではありませんでした。
ただ、ディフェンスが良くかなり戦いづらい相手であったタパレスにKOで勝ってしまうのですから、やはり井上の強さが桁違いであることをあらためて示した試合だったと思います。

タパレスは、長びくとスタミナに不安があるため、井上が慣れる前に攻撃を仕掛けてくるかと思いましたが、試合が始まってみると、ガードを高く上げてやや後ろ体重で構え、あまり攻撃せずしっかり守っていました。
ガードを固め、柔らかいボディワークを活かしたディフェンスで井上の強打をかわしつつ、チャンスを見つけて強打を返す作戦だったのでしょう。
勝つためにはどう戦うのが良いのか、自分の長所も踏まえてしっかりと作戦を練り、それを遂行できていたものと思われ、序盤は、ポイントは失いつつもほぼ思惑通りの展開だったのではないでしょうか。

逆に、井上は、タパレスのディフェンスが予想以上で、思ったようにパンチが当たりませんでした。
手数の多さでやや優勢ではあったものの、井上の方が想定外の展開と感じていたのではないでしょうか。

タパレスにとって誤算だったのは、記者会見でも言っていたとおり、井上のスピードが速かったことでしょう。
ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)にはパンチが当たりペースを握ることができましたが、井上はそれをさせてくれませんでした。

そんな展開で迎えた4R終了間際に、井上の強打がタパレスのガードを破りダウンを奪います。
タパレスは何とか立ち上がりゴングに救われますが、その後は、さらにディフェンシブな戦いを強いられる展開となってしまい、時に果敢に接近して危険なパンチを打ち込もうとするも、展開を変えるまでには至りませんでした。



結果だけを見ると、ほとんどのラウンドを井上が取ってのKO勝利ですから、井上圧勝と言っても良い試合内容だったのですが、タパレスは、逃げ回ることなく反撃する姿勢を見せ、時に井上をロープ際やコーナーに押し込む場面もあり、井上に「効いた」と言わせるパンチを当て、予想よりを遥かに上回る善戦だったと思います。

井上は、これまで何人もの対戦相手を悶絶させてきた必殺の左ボディは肘でブロックされ、ファン・カルロス・パヤノを一発で仕留めた右ストレートも距離が遠くてクリーンヒットせず、思い通りの試合展開ではなかったと思います。

試合後の記者会見でも言っていたとおり、タパレスのディフェンスが予想以上に良かったわけですが、そのような誤算がありつつも、鋭く踏み込んで打ち続けた右は、クリーンヒットせずともタパレスに思ったような反撃をさせない効果があり、ガードの上からでも強打を打ち込んでダメージを蓄積させる作戦は結果的にKOに繋がったわけですから、作戦を遂行する技術と能力の高さには驚くしかありません。

世界王座のベルトを持っている相手と戦ってこのようなレベルの高さを見せられると、井上尚弥と互角に戦うことができるのは井上尚弥しかいないだろう、まして、井上尚弥に勝てる相手などいないと思ってしまいます。



井上は、今後しばらくはスーパーバンタムに留まるようですから、WBC王座挑戦権を持つルイス・ネリー(メキシコ)や、先日WBA王座挑戦者決定戦に勝利した前WBA(super)・IBF王者のアフマダリエフ、IBF王座挑戦権を持つサム・グッドマン(オーストラリア)との対戦が予想されます。

どのような戦いを見せてくれるか、非常に楽しみですね。

◆井上尚弥 vs. スティーブン・フルトン ~ 激闘を終えて④

2023.07.25
WBO・WBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチ


WBO・WBC統一王者 
スティーブン・フルトン

21戦全勝〈8KO〉
vs.
挑戦者 前バンタム級世界4団体統一王者 WBO1位、WBC1位
井上 尚弥

24戦全勝〈21KO〉

8RTKOで井上が勝利、新王者に。




非常に大きな盛り上がりを見せ、井上危うしの声もあった試合でしたが、始まってみると、フルトンは、井上のジャブのスピードに反応できず、自分が打つべきジャブは井上のカウンターが怖くて打てず、有利を伝えられたリーチ差を活かすこともできず、クリンチで井上の攻撃を遮断することもできず…。

試合中盤に井上があえてプレスを弱めてからは反撃する場面もあり、ディフェンスの上手さに王者の片鱗を見せはしたものの、ほぼディフェンシブな戦いに終始してのKO負け。
結果的には、井上の圧勝と言ってもよい内容でした。

フルトン陣営は、試合前からバンテージの巻き方にクレームをつけ、計量の時も井上のことを「チビ」とか言っていたようです。
フルトンは、試合では、(おそらくわざと)何度も井上の足を踏みまくってましたし、試合が終わって井上が健闘をたたえ合うために近寄ってもシカト、記者会見用に貸すのが慣例のチャンピオンベルトをさっさと回収、井上の会見はベルト無しと、感じの悪い態度がいろいろとあったようです。

フルトンは、「今すぐではないが、いつか再戦を要求したい。」とコメントしていますが、これらの態度や試合内容を考えると、井上に「また戦いたい」と思ってもらえないような気がします。
フルトンがフェザー級の世界王者となり、井上を待ち構えていれれば対戦の可能性はあるわけですが…。
そうでなければ、井上の方からフルトンを対戦相手として指名することは無いのではと思います。

ノニト・ドネアはリングの上では勇敢に戦い、リングの外でも非常に紳士的な言動で、日本のボクシングファンの心をがっちり掴みました。
ジェイソン・マロニーも、その紳士的なコメントで日本のファンを増やしたと思います。

ただ、フルトンの態度は、そのようなことにはならないでしょうね。
ちょっと、残念な気がします。

◆井上尚弥 vs. スティーブン・フルトン ~ 激闘を終えて③

2023.07.25
WBO・WBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチ


WBO・WBC統一王者 
スティーブン・フルトン

21戦全勝〈8KO〉
vs.
挑戦者 前バンタム級世界4団体統一王者 WBO1位、WBC1位
井上 尚弥

24戦全勝〈21KO〉

8RTKOで井上が勝利、新王者に。




試合の中盤は、拮抗した状態に見えました。
井上がパンチをもらう場面も増え、徐々にフルトンが挽回してきているように見えたので、観ている側には心臓に悪い展開でした。

ただ、井上が試合後のインタビューで、プレスをあまり強くかけすぎると逃げ回られるので、プレスを弱めフルトンを誘い出す作戦に出たと言っていたのを聞いたときは、さすがだと思いました。

フルトンがディフェンシブだったのでやや戦いにくい状態、パワーがないので多少打たれても大丈夫そう、試合前は判定も視野に入れていたがこれだけ実力差があるとKOしに行きたい、さらに私のような素人ではわからない他のいろいろな要素すべてをひっくるめての「フルトンおびき出し作戦」だったのかと思うと、その思考やそれをすべて着実に実行できる能力には驚きを隠せません。

全てが想定内で、フルトンは反撃していたように見えて井上の掌の上だったと思うと、井上の底知れぬ強さ、隙のなさが改めて際立ったような気がします。


全てにおいて隙など無いように見える井上ですが、時々ディフェンス面についての欠点を指摘されることがあります。
攻撃しているときにガードががら空き、パンチを打つとき顎が上がるとか、下がるときにまっすぐ下がりすぎとか…。

確かにそう見えます。
ただ、本当にそうなのでしょうか?
一つ一つの場面を切り取っていけば当然欠点に見えるものもあるわけですが、総合的に見てそれが修正すべき欠点かどうかは、判断が全く異なると思います。

まっすぐ下がりすぎるのが欠点という指摘は、全く当たってないでしょうね。
もちろん左右にも動けますし、アウトボクシングをさせても超一級品ですが、その必要がないからあまりやらないんでしょうね。
バックステップのスピードが異常に速く、ちょっと下がっただけで相手のパンチが全然届かないところに行けるわけですから、左右に動くよりもずっと安全なわけです。

攻撃しているときにガードがら空き、パンチを打つとき顎が上がるという指摘も、当たってはいますが、これも井上にとっては対応不要だからなのだと思います。
井上が攻撃しているときは相手は必死にガードを固めるしかなくカウンターを打つこともできないので、ノーガードでも顎が上がっていても問題ないですよね。
そもそも、腕は2本しかありませんから、攻撃しているときにガードが空かないなんてことは不可能なんですけどね。

また、このような場面は、実力差がはっきりしている相手にやや強引に攻撃したときであって、実力が拮抗しているときには、しっかりディフェンスしながら戦うでしょうから問題ないでしょうね。

相手の捨て身のカウンターがラッキーパンチとなって井上の顎を捕らえる可能性がゼロではなく、この点については、今後、年齢とともにスピードが落ちてきたり、階級を更に上げてパワーで押しきれなくなった時は、リスクになると思われます。
ただ、そうなったときは、きちんと対応するんでしょうね。

暫くの間は、「井上尚弥と互角に戦えるのは井上尚弥しかいない」状態が続くと思いますが、いつの日か、井上と互角に戦えるボクサーが出てくるのだろうと思います。
井上が圧倒的な強さのまま無敗で引退することを願いつつも、果たしてそれは誰なのか、非常に楽しみではあります。

管理人:ボクヲタおやじ
輪島功一、大場政夫、具志堅用高…。少年時代に往年の名ボクサーをテレビで見て、胸が熱くなりました。以来50年以上ボクシングヲタクです。
過去の名勝負なども取り上げていこうと思います。
おことわり
※ 選手名等は敬称略とさせていただいております。
あしからずご了承ください。

※ 記載内容に誤りなどありましたら、遠慮なくご指摘ください。
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