2019.11.07 
WBSSバンタム級決勝

WBAスーパー王者 ノニト・ドネア(フィリピン)
40勝(26KO)5敗
vs
WBA・IBF王者 井上尚弥
18戦全勝(16KO)


雑感の続きです。

・スーパーバンタム級では並のパンチ力?

今回KO出来なかったことで、井上がスーパーバンタム級に上げたらパンチ力は並のボクサーだろうという意見が出てきましたが、このような何の根拠もない「たら」「れば」な意見はいかがなものかと思います。

ボクシングは、リング上の二人の相対比較です。
どの階級で戦うとしても、相手にパンチ力がなければ相対的に強く見えるでしょうし、相手にスピードがなければ相対的に速く見えます。

井上のパンチがドネアに比べ軽く見えたのも、二人の相対比較です。

現時点でフェザー級でも通用するのでないかと言われる井上のパンチの威力は、これまでの試合で実証済みです。

それをドネアが上回っていたから、そして、これまで世界王者クラスのボクサーを瞬殺してきた井上のパンチにドネアが耐えることができるほどのタフネスだったからそう見えたのだと思います。

私は、百戦錬磨でタフなドネアをボディでダウンさせた井上尚弥のパンチは、ドネアにはかなわなくとも、やはりすごい威力なのだと感じました。

階級を上げると、当然それに応じてパンチ力は増すでしょうし、スーパーバンタム級で通用するかどうかは、実際にスーパーバンタム級で試合をしてみない限りわからないと思うので、この議論は不毛のような気がします。

ライトフライから飛び級してスーパーフライ級でオマール・ナルバエス(アルゼンチン)に挑戦した時も、無謀だとか、いきなり2階級上げてパワーで通用するわけがないとか言われてましたよね…。


・パンチ力よりもスピード

上の階級に転向した時の懸念は、パンチ力よりもスピードが落ちないかというところでしょう。

一瞬の踏込みの速さで相手をKOしてきた井上にとって、スピードは生命線。

無理に体を大きくして階級を上げるとスピードは落ちそうな気がするので、「まだバンタム級で」という井上尚弥の発言にはほっとしました。

今回の試合でパワーを見せたドネアですら、上の階級では苦しんだわけですから。

今回の計量後の井上の頬はかなりこけていて、既にかなり減量が厳しくなっているのかもしれませんので、将来的にはスーパーバンタム級に行くとは思いますが、体が大きくなって適正階級に上げるのであれば、問題はないでしょうね。


・苦戦は「貴重な経験」

大橋秀行会長は、「パンチが効いたシーンを尚弥と知り合って初めて見たけど、そこからダウンを取って素晴らしい試合内容だった。早いラウンドでの圧勝が続き、試合が長引いたときや苦しい場面での対応や耐久力、一番心配していたタフネスを証明した試合だった。価値のある1勝だった。」と評価。

確かに、この苦しい試合は、井上にとっては貴重な経験であり、今後大きく成長する糧になることは間違いないでしょう。

ファンには胃の痛い試合でしたが、井上本人は、「ドネアはめちゃくちゃ強かった。とても楽しかった。」

強豪ドネアとしのぎを削り、更にモチベーションが上がっている感じがします。

(続く)







 
 
 

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