WBSS決勝で井上尚弥と対するノニト・ドネアは5階級制覇王者とされていますが、スーパーフライ級は、あの『WBAの暫定王座』ですから、扱いが微妙です。

そもそも暫定王座は、正規王者が怪我などで長期離脱した際に設置され、正規王者が復帰した時は統一戦を行わなければなりませんが、WBAは、やたらとスーパー王者や暫定王者を作りまくっていて、やっていることがめちゃくちゃです。

2009.08.15に、ドネアはラファエル・コンセプシオンとスーパーバンタム級暫定王座決定戦いを行い勝利しました。このとき、WBAにはスーパー王者と正規王者がいました。
ドネアは、正規王者との統一戦を行うことなく、2010.07.10にエルナン・マルケスと防衛戦を行い、勝利後、返上してバンタム級に転向しました。

WBAスーパーフライ級の当時の状況は下記のとおりで、WBAのめちゃくちゃぶりが良くわかります。

暫定王者










































日本ボクシングコミッション(JBC)は、このような場合の暫定王座は、「合理的な説明のつかない王座を乱立させている」として、王者とは認めない方針を出しましたが、多くのボクシングファンが同感だと思いますね。



ちょっと話は横道にそれますが、この方針により不運だったのが江藤光喜です。

2013.08.01に、江藤がフライ級暫定王者コンパヤック・ポープラムック(タイ)に挑戦したとき、JBCがWBA暫定王座を世界王座と認めない方針をとっていたためタイでの挑戦となり、勝利して暫定王座を獲得した際も、タイで世界王者クラスからの勝利という非常に価値のある勝利であったにもかかわらず、王者とは認められませんでした。

また、正規王者ファン・カルロス・レベコとの王座統一戦が実現する前に、2013.11.29 暫定王座防衛戦を行い、ヨドモンコン・ウォーセーンテップ(タイ)に敗れ暫定王座陥落となりました。
この防衛戦も、JBCに認められないので、タイでの開催となりました。


他団体との統一など素晴らしい実績をもつ王者は、WBOのように「スーパー」の冠をかぶせてあげれば良く、正規王者と別に設ける必要はないでしょう。

何を考えてスーパー王者や暫定王者を乱立させているのか全く理解できません。

一時、なくす方向に向かいかけたWBAですが、なかなか進んでいません。
17階級のうち、WBAはスーパー王者12名、暫定王者は以前より減ったような気がしますが5名います。

WBCもフランチャイズ王座とかよくわからない王座を作っていますが、それでも、暫定王者は2名で、そのうちの一人井上拓真は正規王者ノルディ・ウーバーリとの統一戦が行われます。

IBFは余計な王者はおらず、すっきりしていますね。

WBOは、バンタム級王者のゾラニ・テテがWBSSに参加し防衛戦を行わない状態のため暫定王座が設置され、ジョンリル・カシメロが暫定王者となっているほかにはいませんし、テテとカシメロにも統一戦の指令が出ていますから、じき解消されます。

WBAの暴走ぶりが際立っています。

正当な理由のないWBA暫定王座は正規の王者とは認めるべきではないとすると、ドネアは5階級ではなく4階級制覇王者ということになりますね。
ただ、井上尚弥との決戦を前に、ドネアが何階級を制覇したかはどうでも良い余計な話ではありますが…。








 
 
 

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