考えられない大番狂わせもボクシングの魅力の一つですね。

過去には、マイク・タイソン(米国)vsジェームズ・ダグラス(米国)のような、信じられない大番狂わせもありました。

ボクシング雑誌で最も歴史と権威のあるThe Ring magazineは、毎年「Upset of the Year」を選んでいて、タイソンvsダグラスももちろん選ばれています。
今年は、アンソニー・ジョシュア(英国)vsアンディ・ルイス(米国)でしょうか。

さて、日本人が起こした大番狂わせは、何と言ってもこの試合でしょう。

2011.04.09
ミドル級8回戦
ジェームス・カークランド(米国)
vs
石田 順裕



ジェームス・カークランド(27:米国)

この試合までの戦績:27戦全勝(24KO)

ディフェンスはやや甘いものの、強打を売り物に25連勝(22KO)、近い将来の王者候補として注目を集め、いよいよ世界に向かおうというところで、2009年4月に拳銃不法所持で逮捕、懲役2年の実刑判決で服役。
※2003年にも、武装強盗で逮捕され服役し2年以上リングから遠ざかっており、2度目のブランクとなった。

2011年3月に復帰。3月に行った2試合はいずれもKO勝利。

この試合が、復帰後第3戦。


石田 順裕(35)

この試合までの戦績:22勝(7KO)6敗2分

アマチュアで社会人選手権優勝など、114戦99勝(48KO・RSC)15敗の実績を残し、プロデビュー。

2001.03.01 6戦目でOPBF東洋太平洋スーパーウェルター王座獲得。この王座は、初防衛戦で敗れ陥落。

その後も、日本王座(3度)、OPBF東洋太平洋王座に挑戦するも敗れる。

2006.12.02 日本王座決定戦で勝利。その後2度防衛。
※ 2004年6月に敗れて以降4年間負けなし、8連勝(1引分を挟む)の快進撃。

2008.09.22 マルコ・アベンダーニョ(ベネズエラ)とWBA世界スーパーウェルター級挑戦者決定戦。 2-1(115-113,115-114,113-115)で勝利。

2009.08.30 マルコ・アベンダーニョ(ベネズエラ)とWBA世界スーパーウェルター級暫定王座決定戦。3-0(117-111,118-110,119-109)で勝利、暫定王座獲得。
※ この暫定王座決定戦は、現在のように、正規王者がきちんといても暫定王者を乱発しているのとは違い、同級王者ダニエル・サントス(プエルトリコ)が特別な事情なく1年以上防衛戦を行っていないため行われたもの。
本来ならサントスは王座はく奪となり、この試合が王座決定戦になっても良かったかもしれない。
少なくとも、挑戦者決定戦に勝利した石田と王者サントスの試合が組まれるべきところが、なぜか、サントスの王座はそのままで暫定王座の決定戦が行われた。
また、その時のランキングは、石田が4位、アベンダーニョが5位で、かなり微妙な暫定王座決定戦となった。


2009.12.29 オニー・バルデス(コロンビア)に3-0(117-110,119-108,118-109)で勝利、暫定王座初防衛。

2010.10.09 正規王者だったミゲール・コット(プエルトリコ)がスーパー王者に昇格したことで空位となった正規王座を、サウル・アルバレスの実兄リゴベルト・アルバレス(メキシコ)と争い、1-2(112-115,113-114,114-113)で敗れる。暫定王座陥落。
※ この試合は、石田が優勢で微妙な判定だったと言われた。



石田は、アルバレス戦をきっかけにカネロ・プロモーションズと契約を結んだことで、カークランドの再起後3試合目の相手としてオファーされました。

カークランドにとって、石田は元暫定王者の肩書を持ちながら、もう引退してもおかしくない年齢で、一発の怖さはなく、「かませ犬」としてちょうど良い相手に見えたでしょう。

当然、戦前予想も圧倒的にカークランド有利、勝敗よりもカークランドが何Rで倒すかに興味が集中していました。



試合開始から、カークランドはぐいぐい前進し強打を振るうが、石田はうまく距離をキープ、開始21秒、石田の左がカークランドの顎にヒットしダウンを奪う。

その後も、石田がシャープな連打で猛攻、3度目のダウンを奪ったところでレフェリーストップ。

見事、衝撃的な大番狂わせを演じました。

この試合後、石田は、2階級王者ポール・ウィリアムズと対戦、引退届を出してまで当時日本ボクシングコミッション(JBC)が未加盟だったWBO世界ミドル級王者ディミトリー・ピログ(ロシア)に挑戦、後に3団体(WBA、IBF、WBC)世界ミドル級統一王者となるWBA王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)にも挑戦しました。

すべて敗れはしましたが、これらのボクサーと戦ったその勇敢さには、あらためて驚かされます。


カークランドは、その後、2013年6月に暴行容疑で刑務所入りするなどトラブルが続きボクシングのキャリアは停滞します。

2015.05.09にフロイド・メイウェザーJrに敗れスーパーウェルター級王座(WBAスーパー・WBC)から陥落していたサウル・アルバレス(メキシコ)と対戦、3RTKO負けして以降リングから遠ざかり、2017年2月に予定されていた元4階級王者ミゲール・コット(プエルトリコ)との試合も、カークランドの怪我で流れましたが、2019年8月にリングに復帰しTKO勝利、11月にも試合が予定されているようです。

類稀な才能を持ち、ボクシングに集中していれば獲得できていたであろう世界王者の名声を愚かな犯罪で棒に振ったカークランドですが、35歳の今なお現役で頑張っています。






 
 
 
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